私は20代の終わりごろ、それまで勤めていた自衛隊を辞め、その隊門の前からバイクで旅に出ました。 |
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| 行政書士かわらばん Top | のほほん旅日記(19) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 空缶コレクター 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 誰がなんと言おうと、世の中には物を集めたがる人間がいるということだけ は確かなようである。 小さいころのビー玉なんてのはまああたりまえだが、大人になってもそれを 続けてるってのはいいんだか悪いんだか。 世界の富豪の中には金にあかしてすごいものを集める人もいるようで、本で 読んだ話だが、ある金持ちはコダマを集めたんだそうだ。なんだって? コダマである。ヤッホーのコダマ。つまり谷をはさんで向かい合った山を2つ 買うわけだ。それも世界のあちこちに。いやはや… 僕を拾ったついでに家に泊めてくれたオジサンは缶ビールの空缶コレクター だった。コダマに比べりゃ罪がない。 物を集めてる人って自分の収集品を他人に見せたくてしようがないものらし くて、このオジサンの家でも玄関に入るとまず壁の一面が棚になっていて、 空缶がズラリ天井まで飾ってあった。棚が倒れてきたらどうするんだろ。 居間に通されてくつろいでいるとビールが出てきたけれど、オジサンこれを 開けるのに缶をひっくり返してキリで底に穴を開け始めたもんだ。 飲み終わって元通りひっくり返せば一見未使用というわけ。 「集め始めたころは普通に表から開けてたんだ。この方法に気がついてから、 表から開けた失敗作と同じものを集め直してるんだが、なかなか集まらん。」 とはオジサンの弁。 次に案内されて行ったのは裏の倉庫。本日のメインイベント。あるわあるわ… 20畳くらいの倉庫の壁一面にびっしりと、缶、かん、カン、缶、かん、カン… 不思議なものでこういう場面ではつい日本のものを探してしまう。そしてそれ はちゃんとあった。 居間へ戻ると今度はオジサン、新聞の切り抜きを取り出してきた。驚いたこと に日本の新聞で、オジサンのことが記事になっている。 読んでみると、オジサンのコメントが「おらのコレクションを見てくんろ」 などとオジサンを田舎っぺ扱いした記事文がまず気になった。 切り抜きだから何新聞かはわからなかったが、ひどい書き方をするものだ。 読んでくれ、というからできるだけ訳してあげたが、僕のヨチヨチの英語では 田舎っぺ表現のニュアンスまでは伝わらないから、それはそれでよかったのか もしれない。知らないほうが幸せということはあるものだ。 翌日、別れ際にオジサンは名刺をくれて 「日本へ帰ったら空缶送ってくれんか。中身は裏から飲んでな。」 と言った。裏にはオジサンの字で住所が書いてある。 一宿一飯の恩義にあずかりながら、実を言うとあれから20年、名刺は思い出と して大事にとってあるものの、約束は果たしていない。 年々歳々花同じゅうして歳々年々人同じからず。 ご老体いまだご壮健なりや。 のほほん旅日記(20)へ 行政書士かわらばん Topへ |
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