■店長は機長である
飛行機の最高責任者が機長と呼ばれるのはご存知のとおり。
もちろん操縦も大事な仕事だが、同時に彼は整備から機内サービス、果ては天候不良の
ため臨時に着陸した空港で乗客が宿泊する場合、その宿泊費の会社負担の割合、つまり
会社の懐具合まで計算して飛行機を飛ばす。その便に関するあらゆる局面において責任
を持つのが機長である。
その点で操縦に専念しておればよい副操縦士とは異なる。副操縦士は全体のことを考え
る義務はない。将来のための訓練としては必要だろうが、義務はない。副操縦士は、店
でいえば日々の業務を着実にこなしていればよい平社員に相当するだろう。平社員にも
考える義務はない。
対するに店長は考えなければならない。常に全体を見回していなければならない。店長
には利益の追求という義務があるからである。
もっと安い材料はないか? あれば原価率が下げられる。人件費を抑えるためにパート
やアルバイトをもっと効率よく使えないか? そのためには教育・訓練だ。その時間を
どうやって作ろうか?
店長とはそういうものだ。一労働者として作業に埋没していてはならないのである。
ランチタイムなど忙しさのピークにこそ、店長は全体を見回していなければならない。
バッシング(後片付け)の遅れでお待たせしているお客様はいないか。いれば、その一
瞬だけバッシングを手伝うのである。料理は整斉と出ているか。いなければ、詰まって
いる山場を越すまでの数分を厨房で手伝う。むろん、この間もフロアへ目を配ることを
忘れてはならない。
私はある時、尊敬する社長から
「どんなに忙しくなろうとも、君は店の中央に立っておれ」
と言われて驚いたことがある。忙しければ店長だろうがなんだろうが、とにかく目の前
の仕事を片付けて店を回転させなければならないと思いこんでいたからだ。
そうではなくて、店長とは指揮官なのだということを社長は教えてくれたのだ、という
ことがわかったのはずいぶん後になってからのことだった。
店長は機長である。指揮官である。一兵卒として作業に埋没していてはならないのだ。
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